いわゆるアレ

「さて、明日起きたら電車に乗って出かけようかしら」
乗り遅れると1時間近く次が来ないから遅刻しないように。私はそう考えてちょっぴり早起きしてみた。早起きは三文の得なんて言葉考えた人は凄いなぁと清々しい朝に身を震わせた。
「ちょっと早起きしてしまったなぁ…よーしM@Dでも見ちゃうぞー」
再生開始。ツボだな。この人の作品はどれも好きだけれど、こいつが一番わたしの好みだ。うっとりとディスプレイに見入ってしまう。昨日…日付は今日だけれど、昨日は寝るまでずっとリピートしていた。
今までとは一風変わった作風、と言ってもまず間違いじゃないだろう。それでもらしさが出ている気がするのは私だけじゃあるまい。


「ああ、もう時間だ、出かけなければ乗り遅れてしまう」
しかし気づいた時は再生途中。
「…どうせなら最後まで見てから出かけるかな」
その程度だったならまだ良かった。ただ、私が優柔不断だったのが悪い。気が付けばそれから4回も見てしまい、自転車で大急ぎで駅に向かった時には既に遅く。


目の前だった。不細工な黄色いボディのディーゼル車は劇的なまでの残酷さで逝ってしまった。40分も待ちぼうけ。煙草も持ってくるのを忘れ、自販機に好きなのは無いけれどとりあえず買ったら火も無くて。
ああ、売店も無くコンビニも行くの面倒だ。
ああ、ライター落っこちてないかなぁ。
ああ、素敵なムービーだったなぁ。